年報編集委員会から原稿募集のお知らせ

年報第22号の論文募集

2020年発刊予定の年報第22号は、第22回研究大会(今年6月開催)の共通論題「民主主義の脆弱性と権威主義の強靭性」をもとに編集する予定です。報告者のほか、会員の皆様から広くご寄稿を頂けると幸甚です。

ここ数年、選挙で選ばれたリーダーが民主主義を壊そうとする動きが注目を集めています。アメリカのトランプ大統領、トルコのエルドアン大統領、ハンガリーのオルバン首相、フィリピンのドゥテルテ大統領、ブラジルのボルソナド大統領などによるものです。一方で、権威主義体制の多くでは民主化に逆行する政治的締めつけが強化されつつあります。習近平政権下の中国、プーチン大統領のロシア、フン・セン首相のカンボジアなどがその例です。このような現象は、これまで研究者が「あたりまえ」とみなしてきた政治の基層そのものに対する見直しを迫っているように思われます。言い換えると、先進国における民主主義の定着、新興民主主義国における民主化の不可逆性、冷戦構造崩壊後の世界的な民主主義広がり、といった見方は「ナイーブなもの」になりつつあります。そして、「民主主義の脆弱性と権威主義の強靭性」が同時に立ち現れているのが現在の特徴であると言えるでしょう。

民主主義が機能しにくくなる要因および権威主義が強化される要因にはどのようなものがあるのか。この状況は今後も継続が予測されるのか。前述した現実政治の動きを受け、比較政治学が取り組むべき新しい課題があるとすれば、それはどのようなものなのか。本特集では、このような問いを多様な地域、観点、アプローチで検討する論考を収めたいと希望しております。

投稿を希望される会員は、800字程度の要旨を2019年6月末日までに、下記のアドレス宛てに電子メールの添付書類でお送り下さい。添付書類はワードファイルかテキストファイルで作成し、メールタイトルを「比較政治学会年報2019投稿要旨」として下さい。なお、ご投稿頂いた論文については、編集委員会での審査を経て年報への採否を決めさせて頂きます。あらかじめご承知おき下さい。

*応募先:年報第22号編集委員長(予定)粕谷祐子
 E-mail: ykasuyalaw.keio.ac.jp