第22回研究大会(2019年6月29-30日、於・筑波大学)プログラムに関するお知らせ

2019年度研究大会プログラム(予定)

2019年6月29日・30日 於・筑波大学

*開催時刻、時間割などは現時点での案であることをご了承ください。
*報告題目などは、当日までに変更される可能性があります。

6月29日(土)13:30~15:30

分科会A「権威主義体制における権力継承」

比較政治学において、権威主義体制の持続は多くの研究者の注目を集めてきたテーマである。その中でも、現指導者から次世代の指導者への権力の継承は、権威主義体制の長期にわたる持続を直接的に左右しうる最重要局面の一つであると言える。まず、後継者が誰になるのか、そしてその後継者にいかなるタイミングで権力が委譲されるのかは体制の根幹にかかわる大問題であり、エリート間の均衡を不安定化させる可能性とも隣り合わせである。また、権力継承の態様によっては政治体制の自己規定の仕方を変更する必要性が生じることもある。体制がこの局面をうまく乗り越えられるかどうかが権威主義体制の長期にわたる持続の鍵を握るといっても過言ではないのである。
本分科会では、権威主義体制下における権力継承の実態を把握すると同時に、その背後にあるロジックをよりよく理解するため、各国における実際の権力継承の事例の検討・比較を行う。もっとも、権力継承にも様々なタイプが含まれることから、本分科会では、その中でも特に重要な位置を占める世襲の事例比較を軸とした上で、そこに世襲によらない継承の事例や失敗例との比較の視点を加えるという構成をとる。本分科会で取り上げるのは、社会主義体制でありながら3世代の世襲が実現した北朝鮮、今世紀、新たに共和制下で大統領世襲に成功したアゼルバイジャン、そして世襲を前提とした湾岸諸国の君主制の事例である。

司会 油本真理(北海道大学)
報告 礒﨑敦仁(慶應義塾大学)「北朝鮮における権力継承」
   立花優(北海道大学)「アゼルバイジャンにおける世襲による権力継承」
   石黒大岳(アジア経済研究所)「湾岸アラブ君主国における権力継承の制度化」
討論 宇山智彦(北海道大学)
   横田貴之(明治大学)

分科会B「税制改革の比較政治学」

従来の福祉国家研究では再配分政策に関心が集まる一方で、歳入構造が注目されることは相対的に少なかった。再配分政策と同様に、税・社会保険料の規模や仕組みは各国で異なっており、所得再配分効果にも違いがあることを踏まえるなら、歳出だけでなく歳入にも目を向けて福祉国家を論じる必要があるだろう。
また、現在の福祉国家は新旧の社会的リスクへの対応を迫られると同時に、健全財政も求められており、財源の調達が重要な政策課題となっている。財政状況の悪化が顕著で、福祉財政が逼迫する日本にとってはより切迫した課題といえるだろう。
税・社会保険料を含めた福祉財政制度については財政学に基づく研究が蓄積されつつあるものの、政治学からのアプローチは依然として多くない。本分科会では、各国の税・社会保険料の規模や仕組みがどのように発展し、そこで政治はいかなる役割を果たしたのか、を中心的な問いとする。理論的考察に加え、異なる福祉国家類型に属する三つの国(オーストラリア、フランス、日本)を取り上げて、この問題について検討を試みたい。

司会 近藤正基(京都大学)
報告 加藤雅俊(立命館大学)「福祉国家論における財政と政治-オーストラリアを手がかりとして」
   千田航(釧路公立大学)「フランス福祉国家の普遍主義と租税化―一般社会税を中心に」
   上川龍之進(大阪大学)「財政赤字と日本政治」
討論 加藤淳子(東京大学)
   近藤康史(筑波大学)

自由企画1「世界の自由民主主義の退行を考える―中・東欧とラテンアメリカの経験から」(日本学術会議との共同企画)

各種の指標に現れているように、世界の自由民主主義体制は民主化の「第三の波」を経て、1990年代には拡散が鈍化し、2000年代の半ば頃からは全体としてむしろ後退する傾向にある。フリーダム・ハウスによれば、自由民主主義の指標が改善する国がある一方で、悪化する国のほうが多いという状況が12年間続いている。中でも目立つのが、選挙で選ばれた政権が報道の自由などの政治的・市民的自由を制限したり、司法権の独立などの法の支配を浸蝕するという傾向である。
民主主義の浸蝕(erosion)、退行(backsliding)などと称されるこれらの現象は、各地域や各国でどの程度相似しているのであろうか。それらの現象は各地域や各国で同じ原因から生じているのであろうか、それともそれぞれの地域や国の特殊事情が大きく影響しているのであろうか。関連して、同様の環境要因にさらされながらも自由民主主義の退行を経験しなかった国とはどのような違いがあったのだろうか。さらには、自由民主主義の退行を逆転させるヒントを現実政治の動きの中に見いだすことは可能だろうか。
本企画は、これらの問いについて、中・東欧とラテンアメリカの2地域の比較から考察するものである。両地域とも、20世紀の末に自由民主主義体制がめざましく普及した後、いくつかの国で自由民主主義の退行が目立っている。本企画では、両地域からそれぞれ複数の事例を取り上げて比較することによって、上記の問いへのアプローチを試みる。

司会 大串和雄(東京大学)
報告 中田瑞穂(明治学院大学)「東中欧における政党政治の論理と立憲主義の論理」
   村上勇介(京都大学)「21世紀ラテンアメリカにおける自由民主主義の退行―ポスト新自由主義期の政治変動」
討論 羽場久美子(青山学院大学)
   大串和雄(東京大学)

自由論題A「政党と社会変化」

司会 源島穣(筑波大学・院)
報告 松本八重子(亜細亜大学・上智大学非常勤講師)「カリブ地域の多民族国家における政党政治の展開」
   西川賢(津田塾大学)「ポピュリズム党とは何だったのか」
   縄倉晶雄(明治大学)「社会運動の政党政治に対する影響力行使の過程―2000年代以降の韓国を事例として」
討論 松本俊太(名城大学)
   上谷直克(アジア経済研究所)

自由論題B「先進国の政策決定過程」

司会 安周永(龍谷大学)
報告 野末和夢(一橋大学・院)「フランスにおける社会的・連帯経済の制度的発展―再編期福祉国家の新しい方向性の模索」
   尹海圓(東京大学・院)「中間財産業政策の日韓比較研究―80年代の中小製造企業高度化政策の決定過程を中心に」
   井関竜也(京都大学・院)「憲法裁判所を通じた地方政府の党派的統制」
討論 稗田健志(大阪市立大学)

6月29日(土)16:00~18:00

分科会C「比較政治学における歴史的説明の可能性」

P. ピアソンの『ポリティクス・イン・タイム』以来、「歴史的説明」あるいは時間軸を考慮した説明は、比較政治学においてより理論的に見直される機運が高まった。それは過去20年くらいの間に、質的方法論についての議論が高まったり、あるいは新制度論が理論的に発展してきたこととも関係してきた。それまで多くの研究が、明示的あるいは黙示的に、歴史的背景を1つの要因としたり、あるいは歴史的過程自体を用いて説明を行ってきた中で、そうした説明要因や説明手法としての歴史・時間について、さらに深い理解が求められる時代に我々は生きるようになっている。
では、歴史的説明は、今日の比較政治学においてどのように用いられうる、あるいは用いられるべきなのだろうか。歴史的説明を試みる場合に注意すべき点は何だろうか。また、歴史的説明とより親和性が高い研究テーマが存在するのだろうか。本パネルでは、こうしたチャレンジングな問いにあえて踏み込んで、様々なバックグラウンドをもつ比較政治学者の間で議論する場を設けたい。

司会 岡田勇(名古屋大学)
報告 北山俊哉(関西学院大学)「存在論と方法論―地方政府の総合行政を素材に」
   馬場香織(北海道大学)「歴史的レガシーの終わり方?―ラテンアメリカ政党システム研究からの示唆」
   向山直佑(オックスフォード大学・院)「歴史的説明による新視点の導入―『資源の呪い』研究を事例として」
討論 伊藤武(東京大学)
   西川賢(津田塾大学)

分科会D「ポピュリズムの現在と政治制度への影響」

20世紀末より、先進諸国においてポピュリスト政治家の出現やポピュリズム政党の台頭が相次いで見られ、学界においてもポピュリズムへの関心が再び高まっている。とりわけ、欧米各国では、従来、ポピュリズム勢力が既存の政治勢力を脅かすまでの影響力をもつことはまれであったが、近年では排外主義や反エリート主義の世論を背景として、政治の表舞台に登場する場面がたびたび見られるようになった。かつては疎外された一部の人々からの問題提起であったが、現実にポピュリスト政治家が政権を掌握し、ポピュリズム政党が議会内で強い影響力をもつに至り、今後、各国のポピュリズムはどのように展開していくのか、また各国の政治制度に実質的にどのような影響を与えるのかなど、いまだ見通せない部分も多い。こうした状況を受け、学界においてもポピュリズムは一過性の課題ではなく、継続的に検討の必要な課題として位置づけられつつあるように思われる。
本分科会はポピュリズムの定点観測的なセッションとして、近年の欧米各国におけるポピュリズムの動向を分析する。とりわけ各国における議会選挙や政権交代を契機として、ポピュリズムの性格にはどのような変化が見られたか、各国の政治制度(議会制度、政党政治、統治機構など)に実質的にどのような影響を及ぼしているかなどの点を中心に考察したい。また、各国におけるポピュリズムの時系列的な変化に加え、国や地域の違いによりポピュリズムの性格にはどのようなバリエーションが見られるか、といった点もあわせて考察したい。

司会 菅原和行(福岡大学)
報告 前嶋和弘(上智大学)「アメリカの『ポピュリズム』の現在」
   八十田博人(共立女子大学)「イタリアのポピュリスト政党と議会政治」
   安井宏樹(神戸大学)「ドイツ政治へのポピュリズムの影響」
討論 渡邉容一郎(日本大学)

自由企画2「民主化支援活動における対立的ダイナミズムの検証」

本企画は、強制的手段や外交的手段、技術・資金援助を含む広義の民主主義・民主化支援活動(以下、民主化支援)において近年生じてきた相反するダイナミズムの原因と影響を検証するものである。
民主化を促進し民主主義体制を擁護するための国際的な活動は、冷戦が終結した1990年代以降本格化した。しかし、2000年代後半になると民主化支援に対する制約の強化と支援アクターの多様化という、相反するダイナミズムが現れるようになる。すなわち、一方で、ブッシュ政権によるイラク戦争を発端に「バックラッシュ(反動)」が強まり、中国やロシアなどによる国際的な対抗や支援対象国内での制約によって、本来の目的が果たし得ない状況が拡大した。トランプ政権の誕生でこの動きはさらに顕著となっている。他方で、同じく2000年代にはアルゼンチン、インド、インドネシア、チリ、トルコ、ブラジル、ポーランド、南アフリカなどといった非西欧圏の新興民主主義諸国が民主化支援に参画するようになり、支援主体の増加に併せて支援内容にも多様化が見られる。
では、こうした相対するダイナミズムの出現は、民主化支援にどのような影響を与えているのか。この問いは喫緊の課題にも関わらず、関連する研究は国内外ともに盛んとはいえない。民主化支援活動は、確かに国家や国際機構による一つの政策に過ぎないものの、国家間のパワーバランスの変化やグローバル・ガバナンスの形成、国際規範の変遷といった国際政治の本質の変化の一端を反映させたものであると同時に、影響を与える要因でもある。そこで本企画では、民主化支援に見られる対立的ダイナミズムの原因およびその影響を、複数の視点から研究の方法論と合わせて検証する。
まず、杉浦報告は、民主化支援の動向を国際政治の構造変化と絡ませながら検証する。そのうえで、民主化支援に対する近年の国際的なバックラッシュおよびいくつかの国で近年生じている制約の強まりをその背景とともに検証する。次に、市原報告は、新興アクターによる民主化支援の分析を行う。本報告では一致法を用いた比較事例研究手法を取り、民主化支援開始時期が似た同地域のアクターである日本、台湾、インドネシアの3カ国を取り上げ、これら各国が民主化支援開始に至った動機と民主化支援実態に影響を与える要因を分析する。今井報告は、トルコを事例として、民主化への国際的関与の影響や政府の対応の変化を検証し、対象国の視点から民主化関連の支援・関与の問題点を論じる。対して、岩崎が比較政治学全般の視点から、そして山田がカンボジア政治の視点から、各報告について討論を行う。また、司会者である首藤及びフロアからの質疑応答にも時間を割くことで、ラウンドテーブル的な要素を取り入れる。このような複数の視点からの報告と討論によって、民主化支援の対立的ダイナミズムを明らかにすることを目指す。

司会 首藤もと子(筑波大学)
報告 杉浦功一(和洋女子大学)「国際政治の構造変化と民主化支援の動向」
   市原麻衣子(一橋大学)「非西欧諸国の民主化支援-戦略的動機と規範的アクター」
   今井宏平(アジア経済研究所)「外圧としての民主化とその活用法-トルコを事例として」
討論 岩崎正洋(日本大学)
   山田裕史(新潟国際情報大学)

自由論題C「社会運動は政治に何をもたらしうるのか」

司会 横田貴之(明治大学)
報告 伊賀司(京都大学)・鷲田任邦(東洋大学)「覇権政党体制における社会運動と野党勢力の拡大―マレーシアの事例から」
   稲田奏(早稲田大学・院)“When There is No Strength in Numbers: Protest Size, Interventionist, and Leadership Change”(ペーパーのみ英語)
   谷口友季子(早稲田大学・院)「マレーシアにおける大衆運動と選挙による民主化」
討論 宮地隆廣(東京大学)

自由論題D「国内政治と国際政治」

司会 石田淳(東京大学)
報告 安中進(早稲田大学・院)・喜多宗則(早稲田大学・院)「条件付けられた平和論―Dyadicデータに基づく徴兵制と政治体制が国際紛争に与える影響」
   李正吉(人間文化研究機構)「日韓両国の保守系新聞による『危機言説』の形成過程―2012年日韓両国の保守政権の再成立を事例として」
   松田俊一(慶應義塾大学・院)「NAFTA、GATTにおけるアメリカ連邦下院議員の投票行動―Issue Salienceとの関係」
討論 石田淳(東京大学)
   磯崎典世(学習院大学)

6月30日(日)10:00~12:00

共通論題「民主主義の脆弱性と権威主義の強靭性」

ここ数年、選挙で選ばれたリーダーが民主主義を壊そうとする動きが注目を集めている。アメリカのトランプ大統領、トルコのエルドアン大統領、ハンガリーのオルバン首相、フィリピンのドゥテルテ大統領などである。一方で、権威主義体制の多くでは民主化に逆行する政治的締めつけが強化されている。習近平政権下の中国、プーチン大統領のロシア、フン・セン首相のカンボジアなどがその例である。このような現象は、これまで研究者が「あたりまえ」とみなしてきた政治の基層そのものに対する見直しを迫っている。言い換えると、先進国における民主主義の定着、新興民主主義国における民主化の不可逆性、冷戦構造崩壊後の世界的な民主主義広がり、といった見方は「ナイーブなもの」になりつつある。そして、「民主主義の脆弱性と権威主義の強靭性」が同時に立ち現れているのが現在の特徴であると言えるだろう。
このような状況を受け、本共通論題では、民主主義理論、アメリカ政治、中国政治を専門とする研究者に、それぞれの専門の観点から次のような問いを検討してもらう。民主主義が機能しにくくなる要因および権威主義が強化される要因にはどのようなものがあるのか。この状況は今後も継続が予測されるのか。前述した現実政治の動きを受け、比較政治学が取り組むべき新しい課題があるとすれば、それはどのようなものなのか。

司会 粕谷祐子(慶應義塾大学)
報告 空井護(北海道大学)「民主主義が脆弱で権威主義が強靭であるとはどういうことか」
   待鳥聡史(京都大学)「アメリカ政治における長い民主化と帰結としての脆弱化」
   川島真(東京大学)「中国の描く秩序像−−新型国際関係と強化された社会管理、そして脆弱性」
討論 末近浩太(立命館大学)
   平田武(東北大学)

6月30日(日)14:00~16:00

分科会E「保護主義と国内政治」

不可逆に見えたグローバル化に反転の動きがみられる。戦後の国際秩序形成を牽引してきたアメリカが、トランプ政権下で方向転換したのを筆頭に、保護主義的貿易政策の応酬や、ヒトの移動の制限、対内直接投資への規制導入などが各地で見られ、自由主義的な考え方に基づいて構築されてきた国際秩序を揺るがしている。
その背景に、各国の国内政治要因があることはしばしば指摘されている。格差の拡大などの社会不安がグローバル化への反発に結び付いていると説明されることは多いが、より的確な理解のためには、社会のどのような層が、どのようなタイプの保護主義を要求しているのか、そしてその理由はどこにあるのかに関して、精緻な分析が求められる。また、政治的動機からグローバル化への反発を利用したり煽ったりするアクターの存在も、重要な説明要因である。さらに、国際レベルにおける保護主義的な動きの応酬が、各国の国内政治の展開に影響を与えるという「逆第二イメージ」の作用も見られるだろう。
ここでは、先進各国における保護主義的な動きと国内政治との関係を比較検討し、国・地域ごとの違いや共通点を見出しつつ、グローバル化の中で生じた保護主義と国内政治の相互作用について分析を深めたい。

司会 久米郁男(早稲田大学)
報告 冨田晃正(埼玉大学)「伝統的保護主義の混迷―トランプがもたらす労組の分断」
   若松邦弘(東京外国語大学)「財政緊縮への反発とEU離脱への支持―イギリス政治の争点変化」
   佐藤俊輔(日本国際問題研究所)「欧州におけるEU市民の移動とその政治化」
討論 久米郁男(早稲田大学)
   板橋拓巳(成蹊大学)

自由企画3「権威主義体制における憲法改正の比較研究」

近年の比較政治学では、権威主義体制における「抑圧」よりも「懐柔」に重きをおいた研究が主流であった。これらの研究は、選挙や議会といった民主的な政治制度が、権威主義体制が持続する上でいかに活用されるかを明らかにしてきた。しかし現実には、司法を政治的に利用したり、大統領権力を拡大したりして政権の長期化を目指す例が相次いでいる。つまり、民主的制度を活用し体制の安定化を図るだけではなく、政治制度を現職政権に有利に変更する露骨な権威主義化も目立つようになっている。
このような権威主義体制の強化は体制の安定化に寄与する一方で、特に憲法改正を伴う場合には、憲法の恣意的な改正が体制の正統性を喪失させ、逆に体制の危機を招く可能性もある。そこで、このパネルでは、旧ソ連地域、トルコ、タイの事例を通じて、権威主義体制を強化するための憲法改正はどのような背景を持ち、いかなる過程を経て実施されるのか(どのように正当化されるのか)、そして、どのような条件のもとでそれは成功(失敗)するのかといった点を検討する。各地域に特有の事情を考慮しながらも、地域横断的な議論を通じて、現在多くの国で進んでいる権威主義体制の強化がいかなるメカニズムで起きているのか、理論化への糸口を探っていきたい。

司会 武藤祥(関西学院大学)
報告 溝口修平(中京大学)「権威主義体制における憲法改正のディレンマ―旧ソ連諸国の事例から」
   岩坂将充(同志社大学)「権力分立から権力集中へ—トルコにおける改憲過程」
   外山文子(京都大学)「『立憲主義』による権威主義体制の再構築―タイ2017年憲法の分析から」
討論 豊田紳(慶應義塾大学)
   武藤祥(関西学院大学)

自由論題E「選挙をめぐる政治」

司会 東原正明(福岡大学)
報告 陶山宣明(帝京平成大学)「オーストラリアの優先順位の政治学」
   門屋寿(早稲田大学・院)「権威主義体制下における選挙と体制の命運―選挙不正、選挙結果と体制転換」
   笹岡伸矢(ECC国際外語専門学校)「民主化と女性参政権―戦前日本の経験から」
討論 木寺元(明治大学)

自由論題F「大統領制の政治」

司会 油本真理(北海道大学)
報告 舛方周一郎(神田外語大学)・磯田沙織(筑波大学)「ラテンアメリカ諸国における大統領弾劾成立の条件―因子分析を用いた比較研究に向けて」
   李環誠(慶應義塾大学・院)「アメリカ大統領による高官人事―連邦議会でのキャリアを持つ政治任用者の戦略的登用」
   粒良麻知子(アジア経済研究所)“Presidential Candidate Selection and Factionalism of Five Dominant Parties in SubSaharan Africa”(ペーパーのみ英語)
討論 梅川健(首都大学東京)