企画委員会による2026年度学会大会・企画分科会の企画内容公開のお知らせ
日本比較政治学会第29回研究大会(於 日本大学)
(2026年6月20〜21日)
※本大会は、日本選挙学会との同日・同場所開催となります。
共通論題:「民主主義の後退」に立ち向かう(※日本選挙学会との共催)
近年、世界中で民主主義的あるいは競争的ではない政治体制へのシフト、つまり「民主主義の後退」が見られる。これには、民主主義体制の急速な崩壊も、緩慢な民主主義的な権利や制度の脆弱化も含まれる。20世紀に多く見られたクーデタは例外的になりつつあるが、選挙プロセスを通じた権威主義化は多くの国で見られるようになっている。民主主義の後退をもたらすアクターは様々であり、軍や支配者だけでなく、それを支持する世論の動態も影響を及ぼす。表現の自由や公正な選挙が脅かされることによって自由民主主義的なインプットが損なわれる一方で、特定の社会層への便宜供与や国際的な対立姿勢を示すことで支持を調達しようとする政治リーダーが増加している。また、市民レベルでも感情的分極化が観察され、ソーシャルメディアの普及による影響についても研究が進んでいる。日本選挙学会と日本比較政治学会の共催による今回の共通論題では、民主主義の後退に関して日本および世界の動向を踏まえ、この脅威にどう立ち向かうかを議論する。
司会 岩崎正洋(日本大学)
報告 日野愛郎(早稲田大学)
善教将大(関西学院大学)
見市建(早稲田大学)
久保浩樹(明治学院大学)
討論 中田瑞穂(明治学院大学)
谷口尚子(慶應義塾大学)
岡田勇(名古屋大学)
分科会「ワークフェア以前の福祉国家:福祉と就労の比較検討」
近年の福祉国家をめぐっては、福祉と就労の関係強化が指摘されている。失業者だけでなく、就労困難な人々(障碍者、無業者、一人親等)に対しても福祉の受給条件に就労や職業訓練受講を義務付ける、ワークフェアが進行しているためである。ワークフェアは、福祉を通じて就労困難な人々の生活を保障するナショナル・ミニマムの切り崩しと言える。
ただし、福祉国家の成立以来、福祉と就労の関係はどうだったのだろうか。ナショナル・ミニマムを実現した国もワークフェアに変貌する形で分岐から収斂へ向かっているのか、それともワークフェア以前から国を問わず一貫して強固な関係にあったのだろうか。
このような問題関心から本分科会は、ワークフェア以前(おおよそ戦後~1980年代)を対象に含めた就労困難な人々に対する福祉の受給条件について、福祉レジーム間で比較検討する。具体的事例は、フィンランド(社会民主主義レジーム)、ドイツ(保守主義レジーム)、日本(家族主義レジーム)である。福祉と就労の関係の比較検討を通じて、福祉国家は成立以来、ナショナル・ミニマムを実現してきたのかを問う機会としたい。
司会 後日決定
報告 柴山 由理子(東海大学)
松本 尚子(東京大学)
濵田 江里子(立教大学)
討論 後日決定
分科会「社会的少数者の権利と政治・軍事動員」
本分科会では、国家権力のアクター、特に政府や軍による社会的少数者の包摂・動員の論理を国家間で比較する。マイノリティをめぐる政治に関して、これまであまり注目されてこなかった切り口、具体的には、①台湾と韓国の性的マイノリティ、②イスラエルにおける動物の権利とヴィーガニズム、③インドネシアのロック音楽、に注目する。いずれも先駆的な研究報告であり、政府が国内外に向けて新たな国家イメージを醸成する際に、いかなる背景とロジックによって社会的少数者やそれまで抑圧の対象だった文化を政治・軍事的に利用するのかを示す。また、国家による包摂・動員過程において、マイノリティの主張や権利のどういった側面が強調され、どういった側面が排除されるのか、包摂・動員対象となったマイノリティ側がどのような反応を示すのか、といった点にも注目する。分析対象や国・地域の違いを超えた共通項から、ナショナリズムや政治と社会の関係に関する新たな視角を提供するともに、それぞれの国・地域独自の歴史・政治・社会的文脈や国際関係がマイノリティをめぐる政治にどのような影響を与えるのかを探る。
司会 後日決定
報告 福永 玄弥(東京大学)
保井 啓志(同志社大学)
金 悠進(東京外国語大学)
討論 後日決定
分科会「国家形成過程の長期的影響」
ほとんどの場合「国」内政治を扱う比較政治学において、どこからどこまでが国であり、その国がいかにして成立してきたのかは根本的な前提となる。しかし国家形成過程は、単なる分析のための前提ではなく、それ自体が現在に至る政治現象を説明するための直接的、あるいは間接的な要因ともなっているのではないだろうか。例えばスーダンやシリアの内戦、異なる植民地支配と脱植民地化を経験した東南アジア各国における政治体制の相違、ウクライナの東部やクリミア半島の統治をめぐる問題など、主権国家が成立する過程が関係していると思われる事例は少なくない。そこで本分科会では、異なる地域や事例を対象とする研究者の分析を「国家形成過程の長期的影響」という観点から総合することで、個別事例を超えた何らかの体系的なパターンやメカニズムの有無を探る。短期的な政治変動に還元されない長期的影響を分析することで、各事例の理解を深めるとともに、比較政治学の分析枠組みに対しても理論的示唆を提示することを目指す。
司会 後日決定
報告 渡邊 駿(日本エネルギー経済研究所)
倉石 東那(東京大学大学院)
山田 紀彦(アジア経済研究所)
討論 後日決定
分科会「軍拡をめぐる政治過程」
近年、ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルによるガザ侵攻に代表される、国際法を無視した力による現状変更が行われている。特に後者は、従来、民主主義国家とみなされていた国による武力による国際秩序への挑戦として世界を驚かせた。このような武力による侵攻またはその可能性にさらされた国々では、防衛力強化に向けた動きが加速している。第二次トランプ政権下における米国の孤立主義も、このような再軍拡に拍車をかけている。
一方、軍拡は政治権力にとってコストを伴う行為でもある。他国への侵攻が経済制裁や非難を招くことはもちろんのこと、防衛を目的とした軍拡も、財政面を始めとした国民への負担を伴う。さらには、軍事力による解決それ自体に対する、イデオロギー的反発も無視しがたいはずである。
では、侵攻する側・される側の軍事力行使・軍備拡大はどのような国内政治過程を経て実行されているのであろうか。本分科会では、侵攻する側・される側の代表例としてイスラエルとウクライナの分析、されには侵攻の可能性を想定した国々の多国間比較分析を通じて、現代の軍拡について検討する手がかりとしたい。
司会 後日決定
報告 安中進(早稲田大学)
鈴木淳平(東京大学・日本学術振興会)
松嵜英也(津田塾大学)
討論 後日決定
分科会「権威主義と政権交代」
民主主義体制における政権交代は、選挙を通じた与野党の平和的な権力移譲であり、権力の腐敗を防ぎ、民意を政治に反映させるための不可欠なメカニズムとされている。しかし近年、権威主義体制下でも、政権党内部での権力移行のみならず与野党の交代が観察されている。権威主義体制が持続する中でのこうした政権交代は、体制の脆弱性を示すものなのか、あるいは民主主義体制に倣うことで体制の正当性を高める装置として機能しているのか。権威主義体制下の権力移行は、革命やクーデターに頼らず、制度的な枠組みの中で行われることで、体制の安定化に寄与している側面もある一方、体制を揺るがす予期せぬ結果をもたらす可能性も秘めている。
本分科会では、権威主義体制下で政権交代を経験した国々を取り上げ、政権交代による権力移行のプロセスやその影響、また事例の間に共通する特徴やパターンを検討する。そして、政権交代という概念を民主主義の文脈から切り離し、権威主義体制下の政治力学の中で捉え直してみたい。
司会 後日決定
報告 鈴木絢女(立教大学)
立花優(北海道大学)
吉川卓郎(立命館アジア太平洋大学)
討論 後日決定